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◎高齢者と伝統をミックス 「森のそば屋」 「2003・10・3」



  岩手県葛巻町・江刈川地区は、戸数55戸 住民 約200人。この山あいの地区に在る 「森のそば屋」 さんを訪問したのは、平成7年7月でした。平成4年8月に、この地域に住む農家のお母さん17人が店をオープンさせ・大繁盛、これを目で確かめるために。

  これを仕掛けたのは、創夢長 高家章子 さん。大正時代から地域で使われている 「高家領水車」を利用しての・そば粉挽き。代々受け継がれている手打ちは、そば粉100%に豆腐と卵をつなぎにして打つ。イワナや豆腐田楽などは、目の前の囲炉裏の炭火で焼いて出す。訪問した日も、噂通り・遠く県外のナンバープレートが目立ち、賑わっていた。

  起業のきっかけは、昭和62年の・東京 高島屋での催事 「全国そば紀行」 に参加したこと。2日間で1500食を売上する盛況、高島屋の新記録をつくったことだという。これが母さんたちの自信となり・誇りに思うようになった。。

  しかし、起業する決心をするまでには、5年を要したという。接客の不安・農家との両立・家族の理解・などなど・・・・・・・。さまざまな壁を乗り越えての営業は、順調そのものでした。

  私が訪問した時から7年。再び訪ねてみた。そばづくり・風景・すべてが7年前と同じ。お客は大入り満員で店から溢れるほど。そばの色・味・・・・・これならお客も来るはずだ。年間売上は2800万円。割烹着を着込み・元気ハツラツとした姿で働く17人のお母さんにとっては、かけがえのない収入のように思えました。

  更に、「私も働きたい」 という要望に応えるべく、産直と農村レストランを兼ね備えた 「みち草の駅」 を平成9年に開店。年間6800万円の売上を。「ひぼがはっと」という地域に伝わるきしめんやさまざまな餅がメーン。ここでも地域の人が20人ほど働き、農産物納入も20人ほどが関わるというから、経済効果の貢献も大きい。

  私が感心したのは、高齢者の生きがいを目的とした 「労働力」 をうまく生み出していることです。そば打ちを地域の伝統文化に位置付け、水車小屋という昔ながらの作業をかたくなに守り、感動を与えながら営業する。それを武器に新たな起業にも挑戦する姿は、女の強さがビンビン伝わってきます。

  「利益」は、地域に伝わる加工品を売る店に投じる。ここでは、若い者にも働き場所を提供している。よく考えついたものだし、度胸もあるねえ。

  ここまでくるには、さまざまな山と坂があったと思う。よく乗り越えてきたものだ。強力なリーダーシップに感服・感動です。つぎつぎやってくるであろう向かい風に負けず、歩を進めることは言を待たずです。

  このような発想は、どこの町の人も日頃考えている。ただ・実行できないだけのこと。それはしがらみであったり、石橋をたたいて渡る慎重さであったり、議論ばかりしてまとめる力がなかったり、行政に頼ろうとする消極的発想だったり、出る杭は打たれるをおそれたり、などなど・・・・・・・・・。大事なことは、「リーダーシップ」、を感じた再訪でした。

  あなた自身が、自らの考えに、自信をもって決断し、新たな発想の夢起業が大野町に生まれることを・期待したいなあ。

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