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◎ 高齢時代・「生活を小さく」考えよう



  「小さくする難しさ」

  薪炭業を経営していた父から教わった忘れられないことがある。「会社を小さくすることの難しさ」です。昭和の30年代、暖房用燃料が薪から石油に変化した。また、電気や電話の柱も、丸太柱からコンクリート柱に資材変化。木材需要は激減し、造材業の会社は次々と倒産していった。

  木材の切り出しは、技術と熟練のいる仕事です。親方と働く人は、信頼関係で成り立っていたように思う。親方と弟子のような雇用関係の崩壊は、事業主、雇用者、どちらにとっても耐え難いことだったように、私の脳裏に焼きついている。

  会社を倒産させれば、借金が棒引きになり簡単に整理はつきます。しかし、その代償は、家族や親せきにも及ぶ心配もあります。銀行に借財があれば、固定資産に抵当権がつけられます。会社を畳むことが父の最終目標でした。しかし銀行は、借財をすべて返済しなければ抵当権を抜いてくれません。これがなされないと登記上の会社抹消はできない。

  会社を抹消するためには、「会社を小さくする」、そして「借金を返済する」ことだ、という答えは簡単にわかるが実践は難しいことだった。。この実行のために、父は「社長」から「労働者」に戻ったのでした。

  「会社を大きくすることは簡単だ」、しかし「小さくすることは難しい」、これが口癖でした。小さくする難しさの中には、「プライド」「世間体」などの精神的問題もあったのでしょう。


  
「小さくする準備を始めよう」

  高齢になったら、「生活を小さくする」ことの必要性を感じます。裕福な生活者が、耳を傾ける話ではない。少しの貯えと年金で生活するものにとっては、社会保障制度の将来が不安な状況にあります。昔のような、子供と一緒に一つ屋根に住み、食べ、生活を助け合う時代は稀になりました。ということは、子供にも頼りたくないというより、頼れる時代ではないということでしょう。

  子供の世話にならず生活するとなれば、年金や医療の制度に頼らざるを得ない。国民が安心して生活ができる制度の確立の期待をすると同時に、自らも生活を小さくして、年金で十分暮せる準備をすることの必要性を感じます。


  
「生活を小さくする実践」

  私が年金をもらい始めるのは、まだ数年先。新聞に気になる記事が出た。若い人に年金未納者が多いので、年金納入年齢を引き上げるという内容。さらに、年齢を引き上げて収入不足になる分を、60歳を超えた年金支給開始になるまでの国民から得ようというもの。

  そうなるかは別にして、生活を小さくすることが、高齢者の一番の貯蓄になりそう。会社を小さくすることの難しさと同じように、生活を小さくすることは勇気がいります。そこで、高齢になる前から実践に移すことがベターだと思います。

  実践の例を上げてみます。乗用車を、ご主人と奥さまがそれぞれ専用で持ってませんか。2台を1台にまず減らしましょう。更に、身体や目の老化現象を考えると、高齢になるほど運転動作も衰えます。大型乗用車や外車に乗っての交通事故は怪我が軽くすむ、とよく耳にします。冷静に考えると、スーパーの混雑する駐車場などのことを考えると、高齢者には小回りの利く小型車が似合う、と私は思う。


  
「波及効果は小さくない」

  乗用車を2台から1台にする。大型化から小型化にする。この実践をすれば、新車更新を始め、自動車保険、ガソリン代などの維持費の縮小は馬鹿にならない金額となります。

乗用車を例に出しましたが、生活費の支出を押えるための「生活を小さく」することは、身近にさまざまな形で存在していることでしょう。勇気と知恵で生活を小さくしましょう。

  この「生活を小さく」することを阻む一番の敵は、自らの体内に存在する「プライド」でしょう。生活を小さくすることは、まずは自らの内面に打ち勝つことです。


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