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◎山菜取り・「私に限って迷うハズはない」から得た教訓(2002・7・14)



  5月18日・標高600メートル・大野牧場に、山菜取りに入山した女性が行方不明になりました。母と姉妹の女性3人で、午前8時頃たけのこ採りに入り・午前10時に集合するはずだった。しかし、48歳の妹が戻らず・12時すぎ捜索願いの連絡が入りました。その日は八郎沼まつり・私も会場で連絡を受け、装備して山へ向かいました。現地は、濃霧に小雨という悪条件。聞けば、雨具も持たずの軽装・食べ物もチョコレート1枚だという。捜索が始まったのが午後3時頃、役場職員25人・消防職員10人・消防団62人それに警察の方です。現地の状況は非常に悪く、二次遭難の恐れがあり午後5時で捜索を打ち切りました。車を置いたのは大野町。迷っている人は函館市の方。迷っている山は七飯町ということで、七飯町の消防と役場の職員も出動しました。大野町役場で両町の対応策会議を開き・明日は午前5時から始めることにしました。     
                              
  19日も視界が悪く、捜索は難航。捜索と同時に陸上自衛隊の応援を、渡島支庁に要請しました。大野町側は、職員48人・消防職員21人・消防団97人・警察22人・一般ボランティア10人・自衛隊238人での捜索でしたが、見つけることは出来ませんでした。現地は2メートル近い竹が密集、さらに山が険しく歩くだけでも大変な地帯です。捜索員の疲れも見え始めました。

  20日も視界不良。協力な助っ人・ヘリコプターの飛来はこの日も望めません。役場職員17人・消防職員31人・消防団員71人・警察20人・自衛隊249人、昼食後・最後の望みをかけ横一列にならんで捜索、午後1時51分、残念な姿で発見されました。まことにお気の毒としかいいようがございません。
  
  この事故については・さまざまな意見が寄せられました。ここで検証し、よい提言・ご教示をいただければと思います。そこで、入山するための道路と車を駐車した場所は・大野町。そこから数分歩いた所のたけのこ山は・七飯町。迷った人は・函館市民。大野町の支出した経費・約520万円。 これを頭に置いて次の検証を読んでください。

  
1 なぜ 大野町役場が捜索しなければならないのか  

  北海道議会で道総務部長の答弁を引用すれば 「市町村は、滞在者の安全を保持するという義務を負っています」

2 なぜ 消防団が出動しなければならないのか

  北海道議会で道総務部長の答弁を引用すれば 「消防組織法における災害の概念・広義に解釈されるようになってきた。小規模な事故等も災害に含むと解釈されるようになってきた。山菜採りの事故もこの小規模事故と判断される。従って消防の任務の一環として出動となります。

3 なぜ 捜索経費を、大野町の税金で負担しなければならないのか  

  北海道議会で道総務部長の答弁を引用すれば 「警察・自衛隊・消防・役場・などが捜索活動を行った場合には、それぞれの行政機関が経費を負担している実態にある。

4 山菜採り事故の経費に対する道の支援はないのか  

  北海道議会で道総務部長の答弁を引用すれば 「特定の市町村の負担が多額に上る実態にある場合には、当該市町村の財政状況を勘案しながら、特別交付税の配分などで考慮したいと考えています。

  このほか、「本人や家族に経費の請求はできないのか」 「夜中も電灯つけて捜せないのか」 「事故防止のPR不足では」 「本人に捜索経費を請求しては」 「山菜取りの入山を禁止すべき」 など多くの意見が寄せられました。

  
  事故の起きた時期は、田植えが始まったときであり・農家の方は猫の手も借りたい忙しさでした。そして消防団員の多くは農家の方・従って捜索の3日間はお金に換えがたい時間でした。
北海道議会で質問のされた平成9年、喜茂別町では・たけのこ採りの時期だけで行方不明者11人・消防団出動10回。消防団の退団・なり手がいなくなるとの危惧から質問されています。

  大野町は 「人命救助」 の観点から全力投球致しました。渡島支庁さんの対応は立派でした。支庁長自ら捜索現場に電話を入れ、出張中のため副支庁長を現場に派遣してくれました。そして自衛隊への要請はすみやかでした。自衛隊、今までは捜索して困難な場合の出動でしたが、要請即出動でした。変わりました、そして国民の身近なものとなってきたことを感じます。

  今回の行方不明事故から得た教訓をもとに、大野町は今後どうすればよいかを、対策会議を作り検討しています。議会とも協議し 「予防対策」 「捜索対策」 を来年3月までにまとめる作業をすすめています。これを読んで、きたんのない意見が寄せられることを願っています。

  今回この捜索には、ボランティアで協力された方もおります。また、自衛隊・北海道警察・渡島支庁・南渡島消防組合・大野消防団・上磯消防団・役場職員・ハンター・山の精通者 等多くの方の応援協力をいただきましたことに、紙面で失礼ではございますが、心から感謝とお礼を申し上げます。

  最後に山菜採りのみなさんにお願いです。「オレだけは大丈夫」 「私に限って迷うはずがない」 これを捨ててほしいと思います。また、たくさんの方にご迷惑をかけるということも・心して山菜取りを楽しんでいただきたいと思います。



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