TOP   田舎都会通信  蕎麦酔夢「吉田村」  写真で語る   ブログ   リンク集

◎黒部峡谷は宝の山 森の話15 



  「黒部峡谷鉄道」

  富山県・宇奈月町の黒部峡谷は日本一深いV字峡谷。小さなトロッコ電車が20.1キロ走り、大自然の厳しさと美しさを見せてくれる。出発駅は宇奈月、終点は欅平(けやきだいら)。トンネルを41くぐり、橋を22渡ると終点に到着する。平均時速16キロのトロッコは、所要時間約1時間20分かかる。

  「黒部峡谷」

  黒部峡谷は、北アルプスの鷲羽山が水の源。長さ86キロ、標高差3,000メートルにわたってV字峡谷となっていて、八千八谷といわれる渓流をあわせ、黒部川となっている。

流域の平均斜度は36度という勾配、そのうち70%が斜度30〜45度を占めるという。分度器で想像する45度は急な斜度には思えないが、現場に行くと滑り落ちる傾斜というより登ることができない斜度ということがよくわかります。

  黒部峡谷の源の山々には、年間3000〜4000ミリメートルの雨が降り、冬の積雪も膨大な量となる。この恵を受け、黒部川は水のきれいな川としても有名になっている。黒部市生地(いくじ)にある黒部川扇状地湧水群は、「清水の湧き出る名水の里」として有名です。地下から湧き出る水を生活用水に利用する「共同洗い場」は、地域の人々の心をつなぐ役割を果たしている。

 「水力発電」

  明治時代になって、黒部川の豊富水量と急流が「水力発電」に適していることが注目され始めた。大正12年の資材運搬のためのトロッコ電車が敷設され始めたことから、大正13年発電所建設が始まった。現在4つの発電所が運転している。

  トロッコから眺める狭まる峡谷から受ける威圧感は表現しずらい。困難極める場所に、発電所建設を実現したものだと感服させられる。先人の、未来発展の飽くなき追求・実現に驚かされる。

  「急傾斜がアッという間に滝」

  トロッコ電車から見る峡谷、数百メートルもの高さでスパッと切り立った状態の連続です。乗車する時は小降りだった雨、終点の欅平駅に到着した時は、激しい雨の本降りとなった。山の気象は、変化が速い。帰りのトロッコから眺める光景の変化に驚きました。行く時は単なる急峻な崖だった所が、水しぶきをあげた滝に変身です。この変身する場所に、植物が植生していない理由が解りました。

  「森の役割のお陰」

  黒部峡谷上流の渓流付近は、斜面からの崩壊土が堆積し土壌が厚いという。このため水を含み湿った状態。こういう場所に、養分が少なくても元気に育つサワグルミやカエデ類・スギが茂っているという。また尾根や露出した崖地には、乾燥に強いツガ・クロベ・コメツガなどの針葉樹が生育しているという。斜面には、低木のダケカンバやミヤマハンノキなどが生育し、屋根部分は高山植物が覆っているという。

このように、積雪量、乾燥土、砂礫原、寒冷、などなど、さまざまな自然の厳しさにも耐えらた植物が、崩壊を守り、きれいな水を与え、発電に貢献する水の安定供給など、さまざまな形で貢献していることは否定できない。トロッコに乗りながら峡谷の両岸を見つめると、峡谷に生存する木々をはじめとする植生物の働きの偉大さがよくわかる。

  「法律・条例が森林を保全」

  成長した木を伐採して「収益を上げる森」も大切です。しかし、黒部峡谷の森のように「環境を守るための森」はもっと大事です。全国には、国の法律や地方自治体の条例で保護されている森が沢山あります。「保安林」や「環境保全林」、「木を伐らない森」などです。黒部峡谷の森林も、中部山岳国立公園等・自然公園の指定を受け、水土保全林としてしっかり守られています。森を守ることの大切さ、子孫にも語り継ぐことが大事なことです。

目次へ

TOP   田舎都会通信  蕎麦酔夢「吉田村」  写真で語る   ブログ   リンク集