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◎おばあちゃんの知恵 高山市



  「もとは地獄 いまは殿様」

  「女(おなご)が独りで生きていくには、強い気持ちを持たないと生きていかれないよ。なあに、自分の心さえ真っ当なら何が来たって恐っかなくないからね」。

これは、9つで子守に出され、学校は3年の秋で終わり、もっこ背負って(しょって)土手づくり、東京では肺病を移され、働かない畳職人の亭主に困り ・・・ 次々起こる不幸せにめげず96歳を迎えた早園さつよさんの言葉です。自伝 「さつよ媼(おばば) おらの一生 貧乏と辛抱」より。

  昔の人は、私たちの考えつかないような体験や苦労を重ねて生きてきたことが、この本にはビッシリ詰まっています。お年よりは経験豊富で、どんな世の中であっても、簡単に生き抜く知恵を見出すことを知っている。旅で訪れた高山市、ふらりふらりと古い町並みを歩いていると、知恵を出した店に出会いました。

  「おばあちゃんの知恵」

  写真でおわかりのように、一軒家の前庭におばあちゃんの店という額を掲げています。入り口には、何の店か分かるように「布あそび」というノレンを掲げ、庭の椅子などには、さりげなく作品が置いてあります。

  店に足を踏み入れると、そこにはおばあちゃんの世界が広がります。玄関の上がり台に、丹精こめて作った小物を並べています。玄関を店舗に利用する知恵、経費をかけない店舗の知恵に感心しました。

  聞けば93歳だという。小間物を作る針仕事は、若くても大変な作業です。独りで生きるために頑張っていることが伺えます。器用に作った作品を10点ほど購入したら、とても喜んでくれた。「お客はくるが、なかなか買ってくれない。こんなに沢山買ってくれたので、値段を少しまけます」。ありがたい値引きだが、サロンパスを貼っての作業を見ると、丁重にお断りさせて・・・・・・。



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