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◎北京の伝統民居 「四合院」



  北京市内にある伝統的な民居「四合院」は、元の時代(1271〜1368年)に建てられ始めた。北京に残っている多くは、清の時代(1644〜1911年)から1930年代にかけて造られたものだという。2008年北京オリンピックを控え、取り壊されている光景が目についたが、一方、地区を指定しての保存や新築にも力を入れている。

  書物によれば、中国の一般住宅の代表・「四合院」住宅、平屋と2階建て以上があるが、北京では平屋が一般的。「四」は東西南北の4面を、「合」は塀で取り囲む意味、「院」は中庭を表している。建築面積などにより「大」「中」「小」の三合院に区分されている。

  北京市西城区地の胡同(フートン・昔ながらの横丁の意味)にある四合院、ここで生活してする人を訪問した。壁で囲われた四合院は、立派な門が迎えてくれる。門の上に柱が突き出したようなものが二つ?。身分階級を表しているという。ここの門には二つ付いていた。昔は、身分が違うと結婚は許されなかったという。また、身分によって塀の高さも違ったらしい。

また、胡同はゴミひとつ落ちていない環境美化が徹底しているように見える。若者があちこちに座り込んで絵を描いている光景は、芸術文化の醸成にも胡同は貢献しているように見える。掃除専門の人が、狭い路地を三輪荷物車で巡回してきれいにしている効果かも知れない。

  門を入ると木々が迎えてくれます。これが「院」を表す「中庭」です。こじんまりした庭ですが、「大」の付く四合院ともなれば大きな庭なのでしょう。この庭を囲むようにして4軒が暮しているのです。門を閉めれば、外部とは遮断された小さな一国の暮らしとなります。

この塀が、防犯の役割を果たし、外部との雑音を閉ざし、住むものが助け合う、そういう住み心地よい環境をひとりでに作り出しているように感じる。数百年前に、よく考え付いたものだと感服します。文化慣習がなせることなのでしよう。

  今回訪問した四合院は、4軒・4家族。その主屋の「正房」(日本で言うと本家)の老夫婦宅におじゃました。玄関の戸を開けると、そこは居間。付随して狭い寝室と小さな調理場、合わせて3室。居間は10畳くらい、全体でも広くは感じない。夫が大学教授退職のご家庭、年金・月5万円で快適な生活を送っているという。

狭い床面積だが、ムダなものは一つもないためか、狭さをまったく感じさせない。勉強机が一つ。昔から大切にしているというテーブルが一つ。ソファーが一つ、それに整理タンスとテレビ。スッキリしていて掃除もし易い。生活の工夫がされているし、物を大切にする姿勢が伝わってくる。贅沢をしないというより、質素に暮らすことが体と行動に染み付いていると感じる。

以前は、家族や親族で4軒が形成されていたというが、今は複数の家族が雑居する雑院に変わってきたという。ここは、トイレとシャワー室が奥まったところに造られていて、共同。4家族が、ひとつしかないシャワーとトイレを使用するとなれば、かなり気を使わなければならないように思うが、住む人には苦にならないようですから不思議です。ここは恵まれている。別な場所の胡同は、トイレは外にでての共同だった。水不足なので風呂は造ることが無理のようである。

  


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