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◎北京の食文化・ドッグイヤーの変化



  北京市と大連市の3家庭を訪問し、手料理をごちそうになった。出される品数が多く戸惑ってしまう。日本では、食事を残すと相手に失礼にあたるという習慣があります。しかし中国では違う。全部食べてしまうと「まだ足りない」、という意味にとられてしまうという。「こんなに食べ切れません」、と相手のメンツを立てる慣習らしい。

  お箸。日本では自分の前に「横置き」にします。しかし中国では「縦置き」にする。そういえば、日本でも洋食のナイフ・フォーク・スプーンは縦置きですね。

お茶は熱いものが出てきます。日本のように冷やして飲む習慣がないというのも以外です。理由は、熱いお茶は「体の中の油」を流す役割があり、冷えたお茶は効果が出ないらしい。そういえば、先日横浜での会食の時、韓国の学生から言われた。日本人がウーロン茶を冷やして飲むことが納得できない。お茶も、日本だったら急須に湯を注ぎいでの一番茶しか飲まない人が沢山います。中国では、最初に注いだ湯は捨てるという。理由は「お茶の葉」を洗う湯だという。2度目のお湯でお茶をたしなむしきたりだという。    


  家庭料理で出される自慢の品に、「生野菜」はごく僅かです。中華料理は、ほとんどが温野菜か炒めた野菜。病原菌から身を守るための知恵なのでしょうか。

イトーヨーカドーの塙専務が、北京の華糖洋華堂ショッピングセンター食品売り場の「放心菜(無公害野菜)」、と呼ばれる無農薬・有機肥料栽培商品陳列ケ所に案内してくれた。こういう野菜が陳列されるようになったのは、ここ2〜3年のことだという。

中国はホーレンソウやチンゲンサイなどの野菜が、残留農薬の検査で基準値を超え、輸出がストップなどの試練が続いている。これに対処するため、安全性の高い農産物認証制度に力を注いでいるという。放心菜のコーナーの並べられている野菜を見ると、顔写真入りの農場紹介や無公害根拠を示した表示がされている。これだけで安心かどうかの判断はできないが、華糖洋華堂では万全の確認をしながらの自信陳列。

中国在住・日本人主婦のホームページに、山東省の市場で買ったニラを炒めて食べたら突然めまいと吐き気、そして病院へ、この新聞記事を読み中国野菜の農薬汚染無農薬野菜の現場を確認に行ってきた記事と写真が載っているのがある。それによると、訪ねた農場は、日本と韓国の技術援助を受けた国と市が共同経営していた。広大な敷地にビニールハウスの施設が造られ、栽培されていた。トマト栽培は、鯉を泳がせている水槽の上で栽培されていた ・・・・ その施設を見学して「安心」したという内容です。私も今回、韓村河(かんそんか)という小さな村の施設を見せていただきましたが、日本以上の管理のもとに野菜が作られていました。良いことは積極的にやる、資本の投資も惜しまない、という姿勢が感じられます。

  塙専務は、中華料理の世界は「野菜」を生で食べる習慣はないが、中国にフアーストフードの店が進出したことにより「生野菜」を食べる人が増えている。安心・安全が証明されれば、洋風を取り入れた中華料理の食世界になるということです、と語る。

2008年の北京オリンピック、2010年の上海万博、それにアジア大会と、国外の客を受け入れる行事が目白押しです。ありとあらゆる洋風料理が、いやおうなしに入って来るということでしょう。塙専務は、「我々は洋風料理の知識経験が豊富だ」。と洋風化の食文化変化に自信を示す。

  隣国の近い距離中国と、こんなに食文化の違いがあるとは、今の齢まで感じていなかった。たまたま「野菜」に絞ったが、魚料理から調味料のはてまで、他の食製品にも同じような変化がみられるという。食品の安全管理が信頼されると、食文化は大きく変貌をする。塙専務は、中国の食文化の変化は、ドッグイヤーのスピードと評した。人間の平均寿命に換算すれば、犬の1歳は人間の7歳分。その位変化するというもの。

中国人13億人の食糧の安定確保は、簡単なことではない。食文化の洋風化受け入れは、将来の世界の食糧危機到来を考えてのことも含まれているのかも知れない。そして食文化は、漁獲高に影響する魚つり島などの国境問題にまで根を張っている感じを受ける。



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