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◎「ブナの幼木は貴重品」 森の話 9 



  青森県・白神山地のブナ林を歩くと、ブナの木が自然の厳しさに耐え抜き成長したことが、木肌や太い枝から感じ取ることができる。市内・中山地区にある毛無山、この標高700メートル地帯のブナの木も同様の情景です。更に、標高400〜600メートルに林立する、きじひき高原のブナもしかりです。共通して、「オヤッ」と思うことは、林立する大木の下に「ブナの子」が、ほとんど育っていないことです。

大きなブナの木は、成長するための日光の奪い合いに勝ち、残るのでしょう。成長過程で日光を取れないブナの木は、競争に負けた宿命で淘汰されたのでしょう。日光を採らなければ生存できない、という宿命を木々は背負っている。

  きじひき高原・鉄山地区は、ぶなの散生木地帯。この散生するブナの巨木の下は、幼木が無数に育っている。密林でないため日光があたるからです。数年前までは牛が放牧され、ブナの種は踏みつけられ育つことができなかった。放牧を止めたことにより、芽を出し成長することになったのです。

  ブナの木は、50年くらいの年月を経て初めて種が採れるとも言われ、その種の豊作は5年周期だという。密集林の種の発芽率は60%、散生木の発芽率は27%と低いそうです。2003年はブナの種が豊作の年でした。ボランティアの人でブナの種を拾い蒔いてみましたが、発芽は統計の通りバラつきがありました。やはり散生木の種は、発芽率が良くないようです。このようにブナの種は貴重品なのです。

  この貴重な種から育ったきじひき高原・鉄山地区のブナの幼木を、きじひき高原・百年の森づくりの植林に活用している。健康な巨木の遺伝を受け継ぐ幼木は、同じ環境の標高400〜600メートルの厳しい自然にも順応するはずと思ったからです。この幼木の植林地は、思ったとおり順調に生育する結果を出しています。

  ひとりひとりのボランティアの力を借りて苗木を堀り、それを植林する。単純な小さなことのように思うでしょうが、こういう地道な積み重ねを根気よく続けることが、地球温暖化防止の支えになります。

  
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