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◎心配な「ふっくりんこ」の行く末



  心配されてきたことが現実になった。栽培適地の「道南限定」がPRの目玉だった、道南の米「ふっくりんこ」が、空知でも作付け可能のゴーサインが出てしまった。

  ふっくりんこは、道南農業試験場で「渡育240号」として開発された。米どころ上川と比較し、積雪期間が43日、真冬日で42日短く、平均気温は2.1度高い。気象条件の違いが、ふっくりんこを誕生させた。

  ふっくりんこを道南限定の米とするため、生産者は一致結束して「安心・安全・高品質」対策に取り組んている。@ 栽培者の生産履歴台帳の義務付け A 無登録農薬の禁止 B 残留農薬等安全確認検査の実施 C 米穀施設トレサビリティの実施 D 施肥防除マニュアル・土壌分析による施肥・防除 E 高品質チェック表による確認。

更に、文月地区にある最新鋭施設・ライターミナル(米穀乾燥調整施設)が援護する。自然乾燥に近い「遠赤外線乾燥」と「低温籾貯蔵による今摺方式」と併設されている精米所が、消費者の安心・安全感を高めている。

ふっくりんこを栽培する農家が「函館育ちふっくりんこ蔵部」を設立。ふっくりんこは、「見た目が輝くような白さ」「ほんのり甘く・こしが強い」というおいしい米。生産から出荷まで厳しく管理し、道南のブランド米にしようと意気込んでいる。

  「地産地消」の愛食運動に、渡島・檜山の両支庁を中心に力をいれている。旧大野町も、「地産地消」運動に3年間で15百万円投入した。結果、ハンバーガー・チェーン店での使用を始め、「イカめし」「お米麺」など付加価値をつける製造販売にも光が見え、さらに一般家庭での消費も増えている。

  こういうように、ようやく道南地方の気象に合う「ふっくりんこ」誕生を喜び、生産農家も消費者も協力してふっくりんこを愛用しようという機運が高まっている矢先のゴーサインに驚いてしまう。

  米は「作れば売れる」の時代は昔の話。広い北海道、道南限定の「ふっくりんこ」を育て、地域・地域の特性を出した生産物を作り、そして安心安全に心を配りながら品質を守る、という方針を持ってもらいたいことを関係機関に訴えたい。

  今回ゴーサインの理由は、空知管内の8市町は、栽培が可能な地域だという。栽培試験では、「栽培適地」というより、「適しているとは言えないが、可能」という「栽培可能地域」という判断からだと新聞に載っていた。このことが、品質低下につながらないことを祈らずにはいられない。

  このままでは、一番消費者に安心してもらえる「品質保持」が、保てるかどうか不安です。せっかく「ふっくりんこ蔵部」が結成され品質を守ることを約束、道南の作付農家が張り切っている現況を考えれば、今回のゴーサインは疑問が残る。
  


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