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◎人間の五感と森林・木の話 連載5 農学博士・梶本孝博さん


  「人間の五感」のつづき
 

  木の成分、木はセルロース、ヘミセルロース、リグニンという成分でできています。木を使って石油をつくるなど色々なことがされてきています。しかしまだコストが高いのであります。キリシトロールというのは、歯の予防、虫歯予防で、チューインガムに入っています。

キリシトロールを口に入れ噛むと爽やか気持ちになる。それは何故かというとキリシトロールは溶ける時に熱を奪うので、チューインガムを噛むと溶けて口の中がスーとします。このキリシトロールは木からつくります。

  ヘミセルロースを原料としてキシリトールがつくられます。ヘミセルロースは木だけではなく、葉など普通の植物にも沢山あります。農産物にもキリシトロールが入っていますが、本家本元は木に入っているヘミセルロースであります。

10年、20年後、木の成分を抽出する科学がもっと発達すれば木は宝の山になります。木から何でも採れます。イチイはガンの薬にもなっています。ガンの薬は木から沢山採れています。

  成分を抽出する科学がもっと発達すれば、非常に安いコストで木の中から色々なものを抽出することが可能になると思います。今、水産は例えば鮭の頭から身体によい、健康になる成分を採って利用したり、キトサンなどカニの甲羅から有用な成分を抽出して色々なところに使っています。

  石油はもともと木が倒れて石炭になり長い時間をかけてできたものであり、当然、石炭も石油も簡単に採れます。ただ、コストは高い、後10年、20年で抽出科学が発達しコストがかからなくなれば、山はまさに宝の山になります。

そうなると山里に産業が興り、人が集まって、山郷がもっとにぎやかになる時代がかならず来ると思います。しかし、そのためには冒頭申し上げましたように 「山は三代」 であり、本当に立派な山になるには三代かかります。ですから私の時代ではちょっと無理かなと思います。自分の息子、孫の時代には、日本の山は、これだけ山を大事にする日本人の思いも含めて、本当に宝になって、山の近くに産業が興り、人が集まり人里がもっとにぎやかになる時代が必ず来ると思います。
次につづく


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