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◎人間の五感と森林・木の話 連載3 農学博士・梶本孝博さん


  「人間の五感」
 
  冒頭に申し上げましたように、森の中にはいっていると、私どもの心は落ち着きます。木に触ると心が和らぎます。このことについて、お話をします。匂い、音、色、手触り、食べると言うことについてであります。

  森にはいると色々な匂いがします。クスノキからは樟脳が採れます。テルペンというのが森の匂いの総合的な呼び名です。そのテルペンというのが我々のストレスを和らげてくれ、疲労回復し、血圧を下げるなど、森や木が持っている匂いに効果があります。

  ヒバという木があります。ご存知の方がいらっしゃると思いますが、匂いヒバというのが街路樹になっていますが、基本的にそれと同じ種類、科の、ヒノキアスナロで、檜山地方に生えているのがヒバという木であります。

ヒバの木で家を建てると蚊遣いがいらない、ヒバの家には蚊が入ってこない、そのくらいカビやダニに対する抗菌性があり、その繁殖を防ぐ、そのくらいヒバという木は抗菌性を持っている。それが人間にとってどうかというと、人間にとっては大変良いのであります。

ヒバとかヒノキのお風呂は良い匂いがして気持ちいいですね、心が和らぎます。木が持っている様々な匂いの成分というのが、人間のストレスや疲労回復、血圧を下げるといった大きな効果があります。


  それから、森の音、森にはいると色々な風が吹いて葉がすれるような、カサカサ、コソコソといった優しい音が聞こえます。川のせせらぎ、鳥の声も聞こえます。しかもマイナスイオンの宝庫です。

銭湯に行きますと大きなポスターがあるのをご覧になった方もいらっしゃるかと思いますが、「お風呂が気持ち良いのは、マイナスイオンのおかげです」と書いてあります。私は札幌の手稲ですが、近くの銭湯で、銭湯組合で作ったと思われる大きなポスターがあってそう書いてあります。

空気中にプラスのイオンとマイナスのイオンの二つがあります。お風呂にはいると水蒸気が出ています。水蒸気、水滴が、空気中のプラスイオンを吸収する。そうすると空気に残るのはマイナスイオン、そのマイナスイオンが、我々の身体にリラックスする影響を与えています。だから気持ち良いのであります。

  森の中の川の近く、滝の近くなどは、マイナスイオンがいっぱいあのます。だから自然と身体が心地よくなるのです。自律神経の中には交換神経と副交感神経があり、副交感神経がリラックスする神経でそこにマイナスイオンが作用し、気持ちがリラックスするのであります。

交感神経は興奮する、頑張るぞという気を起こさせる神経です。登別のイオウの匂いがプンプンするところは、プラスイオンが充満していて、交感神経を刺激するのであります。しかし、登別のイオウ臭は我々の神経を逆なでしています。それは交感神経に働きかけているからなのです。


  海岸の波打ちぎわはマイナスイオンがあります。しかし海の沖ではプラスイオンが沢山あります。「やませ」という言葉があります。これは道南、東北で「やませ」が吹くと今年の夏は冷夏で大変な飢饉が起こるなどといわれています。また、、「やませ」が吹くと食欲の不振、足が痛い、頭痛になると昔から言われています。お年寄りの方はそういう話をお聞きになったことはあると思います。

それはなぜか、「やませ」は大量のプラスイオンを含んでいるからであります。プラスイオンを含んだ風が吹いてくると、特に免疫力の落ちている身体の弱い方、持病のある方は頭が痛くなったりします。これは昔から言われていることであります。それくらいブラスイオンとマイナスイオンは人間にとって非常に大きな影響があります。このマイナスイオンが、お風呂に入ったら気持ち良いと思うのと同じくらい山の中にいっぱいあります。これが森とか匂いのお話であります。  次につづく



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