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◎上に立つ者の心得 



  大野町の定例議会が終わった。この9月議会は、決算審査が行われる長丁場。課長・局長・参事の管理職は、議会が無事終わるとホッとする。「何を聞かれるのか。何を指摘されるのか」、不安を抱えながらの日々は、疲れが倍増したことでしょう。

  管理職になれば、部下にも目配りが必要になります。昔は飲み食いし、義理人情で上下関係うまく保つことは可能だった。そして、信頼・信用も得られた。しかし今の時世に、通用するだろうか。見識を持つこと・部下に・仲間に信頼されるには、かなりの努力も必要です。

「何でも良く知っているのに、周囲から信頼されない人もいる」。また、「うまいこと言っても、自分が有利になることしか考えていないのでは」と不信感を抱かれる場合も。そして、そうではないのに、悪く取られる時もあると思う。管理職とは、「辛い者」 と当事者は思っているに違いない。

  話方研究所長・福田健さんは言う。毎晩、飲んで遅く帰る。休日は家でゴロゴロするかテレビを見ている。そんな父親でも、会社に行けばやり手課長だったり、プロジェクトチームのリーダーとして活躍の力の持ち主だったり・・・・・。ところが、子どもは父親の職場における活躍を見たことがない。目に入るのは、家にいる時の無気力な姿だ。そんな父親から、「もっとやる気を出せ」 「しっかり勉強しろ」 と言われると、「おやじはどうなの」となる。

  管理職として上に立つ者の苦労は、人に言えない辛いものがあると思う。上甲晃さんの「上に立つ者の心得」も、クリアーしなければならない「上司たる者の常識」に思える。


  「上に立つ者の心得」  志ネットワーク代表 上甲 晃さん


  営業のある責任者が、「夏には北海道に行くなと社長に言われておりますもので」 と言葉を切り出した。その場に居合わせた人達は、その理由を図りかねて、首をかしげた。

すると、当の社長が、「理由はなぜかわかるか?」と質問した。営業の責任者が、「申し訳なさそうに、「現地の所長との飲み食いを慎めという意味でしょうか」と伺いを立てた。「それもある」と社長は言いながら、「他に?」とみんなの顔を見回した。「今や北海道は主戦場ではない。主戦場を中心に回れとの意味ではないでしょうか」と別の幹部が言う。「それもある」と社長は、首を縦に振る。「他に?」と社長は、さらにみんなの顔を見る。いくつかの理由が挙がった。そのたびに、「それもある。他に?」としか社長は言わない。

  みんな、答えに窮した。しばらく沈黙が続いた。私も考えた。しばらく沈黙が続いた後、社長がおもむろに口を開いた。「夏の北海道は、みんなが憧れている地である。たとえそれが仕事であっても、上司が北海道へ行くと聞くと、部下はうらやましいと思うものである。まして一回だけならまだしも、夏の時期に上司が何度も北海道へ行くと、部下はうらやましい気持ちを越えて、反感を感じてしまう。部下がうらやましく思うようなことを上司はしてはならないのだ。北海道へ行くのなら、厳寒の冬に行け。部下は、この厳しい寒さの時期に大変だろうと思うだろう。それが大事だ」。

  私は、その社長の話を聞いていて、さすがだと感心した。やはり社長だけのことはある。「部下がうらやましく思うようなことを上司はやるべきではない」。それはきわめて示唆に富んだ教えだ。「上に立つ者は、部下のだれよりも損をすべし」と教えた経営者もいた。同じ思いなのだろう。

  部下の心をつかむことができなければ、本当の上司ではない。部下の気持ちをしっかりつかもうと思ったら、「上司がこんな大変な思いをしているのか」と部下が心を寄せてくれるような姿勢を貫かなければならない。

しかし、世の多くの上司は、「部下が喜ぶような徳を、自分が先取りしてしまう」人が大半である。上司が涼しい北海道で、おいしい料理を食べている時に、部下たちは、会社の近所のしがない焼き鳥屋で、「北海道出張と言っても、何をしていることやら。きっと今ごろ、すすき野で遊びほうけているだろう」と酒の肴にして、愚痴をこぼしていることであろう。

  上司たる者、部下の喜びは自分の喜び、部下の苦しみは自分の苦しみ、部下の悩みは自分の悩みと考えられるようでなければ、勤まらない。その意味でも、絶好の観光シーズンに、のこのこと北海道通いするようでは、社長から叱られてもいたし方あるまい。それにしても、社長は、慧眼(けいがん)だ。

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