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◎考える 「同期並びの公務員」



  公務員の給与体系は、役職にあまり左右されない制度になっているように思える。制度上では、勤勉評価による部分もあるにはあるが、機能はしていない現実です。従って、病気により仕事につけないとか、理由がある場合を除き給与支給は 「横並び」 です。

  勤務評定がされないこの給与体系には、長い間・賛否を問う議論がされてきました。しかし、国の財源不足がきっかけとなり、この改善に手がつけられる状況になってきました。志ネットワークの代表 上甲晃さんが、「効率性の悪い給与体系」の一端を指摘しています。私たちも一考してみましょう。


 
    「降格希望」  志ネットワーク代表 上甲 晃 さん

  公務員の世界には、私のように民間企業で働いてきたものからすると、とても信じられないようなことが多い。もっとも、公務員からすると、民間企業で行われていることの大半は、耐えがたいことであったりするのだろうが。いずれにしても、民間の感覚からすると、公務員の世界は特異だ。

  私の住む堺の消防署長は、「私は、今まで次長待遇でした。今回、昇格して部長になりました。そして上がった給料が1,300円。ところが部長になると、特別職の賃金カットのために、大幅に給料が下がりました。結局両方を差し引きすると、部長になったために、かえって給料が下がる結果になってしまいました。責任は重くなる、給料は少なくなる。どうにも割に合わない話です。こういうケースが多いので、公務員の中には、部長から係長に降格してくれといった希望さえあります」という。

  私は、「民間企業では、昇格しないと、給料が上がらないのです。50歳を越えると、同期入社であっても、役職によって、倍以上の差ができます」と答えた。同期並びの公務員、徹底した競争原理に基づく民間企業。お互いに、とても想像のできない違いである。

  先日、「日本の進路研究会」で、横浜副市長の前田正子さんの話を聞いた時も、同じようなことを聞かされた。「働いたものが馬鹿を見る」、そんな気さえするのが、公務員の給与体系であり、昇格の仕組みなのである。

ちなみに、横浜市は、28歳で係長試験を受けることができる。その年齢の低いことは、さすがに先進的である。若い人たちにも、昇格のチャンスを与えていこうとの思いなのだ。ところが、その試験に挑戦する人があまりにも少ないのだ。男女ともに、該当する年次の人たちの一割にも満たないと聞いて、あきれた。道は開かれているが、そこを歩こうとする人がほとんどいないのだ。


  前田正子さんによると、昇格による現実的なメリットがほとんどないことが、最大の理由とか。重い責任を負って働いても、ほとんど給料の差はない。しかも、管理職になると、休日出勤、残業、有無を言わさぬ転勤などが待ち受けている。

れなら、転勤もなく、休日に出勤しなくてもいい平職員のほうがよほど気楽だというわけ。そんな意識では、良い仕事ができるはずがないと、民間企業で働いてきた私は、決め付けてしまいたくなる。

  もちろん公務員の中には、やる気満々、あるいは使命感に燃える人も少なくないはずだ。その思いに経済的にも報いてあげる給与体系や昇格の仕組みを役所も大胆に導入すべきだ。

 
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