タイトル 2000年11月1日発行
No.69 第74号
しらかば薬局

発行:しらかば通信編集委員会
今年も、いや今世紀もあと2ヶ月を割り、カウントダウンまであと少しとなりました。
また11月ということもあり、寒さが骨にしみる季節ともなってまいりました。
さて今回はその「骨」の病気について
函館稜北病院整形外科の及能義広先生に書いていただきました。


 骨の病気について 

整形外科では診察の際によくレントゲン写真を撮ります。
レントゲン写真には主に骨が写っているわけですが
今回はそれからどういうことがわかるかについてお話しします。


 外傷の場  

 まず転倒や事故などの外傷の場合です。患者さんは当然ですがまず骨折があるかないかを心配します。骨粗鬆症のあるかたで転倒した際に多いのは手首の骨折と太もものつけ根(大腿骨頸部)の骨折です。この場合非常に痛みが強く、手首が腫れたり、全く歩けなくなったりしますからレントゲンを撮る前から大体は骨折しているかどうかわかります。レントゲンを撮ることによって、どの程度折れた骨がずれているか、どんな手術をしなければならないかを判断します。問題なのは圧迫骨折といって腰や背骨の骨がつぶれている場合です。しりもちをついた際に背骨の骨がつぶれると非常に痛い思いをするのですが、実はつぶれたのはかなり以前(いつだか判らない場合もあります)であってレントゲンの異常と症状の原因が必ずしも一致しない事があります。これはぎっくり腰も同様で、そもそも重症の腰痛といってもレントゲンで明らかな異常がない場合が珍しくないのですが、レントゲン上で腰の骨に何らかの異常があっても、それは症状とまったく関係がない場合も多いのです。ですから必ず診察を行ってレントゲンの異常と症状が一致するかの判断が重要です。

 一般には骨折などあれば重症で、骨に異常なければただの打撲か捻挫だからあまり心配ないと考えるむきもありますが、必ずしもそうではありません。捻挫の程度がひどく、膝や足首の靱帯が切れたり、膝の軟骨(半月板)が損傷をうけたりする場合がありますが、そのときはレントゲン写真では異常は出ません。しかし後になって手術しなければ後遺症が残る場合もあります。交通事故に多いむちうち症(頚椎捻挫)もレントゲンに異常がなくとも重症でけっこう長期に症状が続く場合もあります。肩を強くぶつけた後に肩の痛みがいつまでもとれなかったり、肩の上げ下げができなくなったりする事がありますが、これは肩のすじが切れている場合が多く(肩の肩板損傷)場合によっては手術治療が必要なこともありますが、このときにもレントゲン写真では異常は出ません。こういった腱や靱帯の異常は造影剤を注射する関節造影検査やMRIで診断することができます。


                       腰痛や関節症 

 慢性的な腰痛や関節痛の診断のためにもレントゲン写真を撮りますが、レントゲンの結果が異常か正常の判断も特に年齢によっては難しい場合もあります。腰や頸を含めた背骨の骨や膝など体重のかかる関節の場合、ある程度歳をとると必ず何らかの変化が出てくるものです。女性で特に高齢の場合はだんだん背骨の骨がつぶれてきて背中が丸くなり、身長も低くなってきます(いわゆる骨粗鬆症の症状です)。男性も骨の角が飛び出てきたり、背骨のつなぎ目のところが変形したりします。若い人の骨と比べると異常と言うことになりますが、現実にそういった様々な変形があるからといって痛みなどの症状が全くない場合もあります。むしろそういった変化は年をとるとだんだんと衰えていく体の柔軟性や筋力をカバーするような合理的な変化と考えられる要素もあります。こういった骨の変形はどんどん進むことがあっても自然には元に戻ることはないのですが、症状もどんどん進んでいったり、良くならないということでは決してありません。比較的若い人の腰痛の原因として腰痛分離症というのがありますが、腰椎が分離しているから必ず腰が痛くなるわけではないようで、たまたまレントゲンで分離が見つかっても全く症状のない人もいます。必ずしも骨の異常のみが痛みなどの病気の原因となるわけではなくて、骨と骨をつなぐ靱帯や関節の袋、骨を取り囲んで支えている筋肉、骨の近くを走る神経が症状に関与している場合が多く、レントゲンだけを見て早急に診断をするのはよくないと考えます。
                                      

 レントゲンで見つかる重大な病気 

 レントゲン検査で重大な病気が見つかることもあります。整形外科では外傷でなくとも受診した際に必ず1回はレントゲン検査をすることにしているのですが、それは腫瘍と感染を見逃さないために必要でもあります。骨から発生する腫瘍は子どもや若い人ほど悪性の腫瘍(肉腫といいます)の頻度が高いといわれています。また内臓の癌の転移が骨に見つかることもあります。感染というのは黄色ブドウ球菌といって感染力の強い細菌や結核菌が原因となることが多く、骨の中に膿がたまって骨を破壊して熱や痛みが出ます。
 
                  


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