タイトル 2000年9月1日発行
No.72 第67号
しらかば薬局

発行:しらかば通信編集委員会

 残暑の感じる日もほとんどなくなり、過ごしやすい時期になってきましたが、みなさんはどうお感じでしょうか?
今回は、患者の数は多いはずだが、本人はもとより、医師の間でも認知度が低いため、的確に診断されない事の多い病気、
「パニック障害」について、かとうメンタルクリニックの加藤知子先生に書いていただきました。
 

 1.パニック発作とは?

最近テレビや新聞などで”パニック発作”という名を見聞きする機会は多いのではないでしょうか。

 デパートのフロアにいる時、突然、何の前触れもなく、心臓がドキドキし始め、あっと言う間に激しくなり、
死んでしまうのではないかという恐怖で、居ても立ってもいられなくなってしまう・・・・

 パニック発作はこのような形で始まることが多いのです。
発作のおこる場面は、デパートやスーパーマーケット、乗り物と様々ですが、
日常よく利用する場所であれば「発作がまたおこるのではないか」という強い不安で、同じ状況を避けようとするために、大きく生活が制限されてしまうこともあります。
1人で外出できなくなる場合もあります。
パニック発作は、決して稀な症状ではありません。
発作を体験する頻度は、1日に数回から、1年間に1〜2回までさまざまです。
男性より女性に多い傾向がみられます。

 

 2.パニック発作の症状

 パニック発作の症状を少し詳しく説明します。

  動悸や心悸亢進(心臓がドキドキする)、汗をかく、震えがくる、息が苦しくなる、窒息感、胸痛や胸の嫌な感じ、
嘔気や腹の不快感、めまい感や気が遠くなる感じ、現実感がなくなる、気が狂いそうになる恐怖、
死ぬことに対する恐怖、異常な感覚(うずき感、感覚がなくなる)、冷感や熱感。
これらの症状が、強い恐怖や不安と共に、ある時突然出現し、10分以内に症状は急速に憎悪し頂点に達します
(症状は、いくつか合わせもっています)。その後、20〜30分、長くとも1時間で、
症状は急速にあるいはゆっくりと消えていきます。この間の切迫した死えの恐怖は強く、
混乱してしまうことも多くみられます。激しい動悸や胸の痛み、呼吸困難といった症状をもつ人の中には、
実際に失神する人もいます。身体の症状の他に、会話が出来なくなる、
記憶がなくなる、鬱(うつ)といった精神症状を体験することもあります。

  3.パニック発作をおこす病気

  パニック発作は、「パニック障害」という病気の特徴的な症状ですが、
パニック発作自体は他の精神疾患や身体疾患によっても生じます。

 パニック発作あるいはパニック発作に似た症状をおこす身体疾患には、
心血管疾患・肺疾患・神経疾患・内分泌疾患・感染症などの他、薬物中毒や薬・アルコールの中断時があります。
いずれにしても尿・血液検査、心電図検査、レントゲンなどで、鑑別できるものです。 

 パニック発作をおこす他の精神疾患にもいろいろあります。うつ病、精神分裂病、心気症、ある種の恐怖感、
強迫性障害、外傷後ストレス障害、人格障害などです。これらの疾患によって生じるパニック発作は、
パニック障害とは呼びません。治療経過も異なります。

 では、「パニック障害」はどのような病気なのでしょうか。

 自然発生的な予期できないパニック発作が繰り返し起こる病気です。
最低1回のパニック発作があり、それから1ヶ月間以上、「また、発作が起きるのではないか」と憂慮し、
発作の意味合いについて心配し、生活上重大な変化を来たします。検査をしても身体に異常はなく、
死に至る病気ではありません。どの年齢にもみられますが、比較的若い年代(若年成人)に多いとされています。
パニック発作は、時に、大切な人を失うような喪失体験やストレスとなる出来事、
カフェインやアルコール摂取、睡眠不足などの後におこることもあります。
また、パニック障害は、「広場恐怖」を伴うことがしばしばあります。
広場恐怖は、人混み、エレベーター、地下鉄、バス、飛行機など、逃げることが困難な状況に脅え、
外出時にはいつも付き添いが必要になるような心の病気です。
パニック障害が治療されれば、多くの場合、広場恐怖も改善されます。


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