タイトル 2000年2月1日発行
No.64 第60号
しらかば薬局

発行:しらかば通信編集委員会

今年も風邪(インフルエンザ含む)が
猛威を振るう季節になりましたが、
対策のほうは万全でしょうか?
今月号は先月に引き続き、函館稜北病院内科医佐々木先生に、
その他(先月号は肺結核でした)の
主な肺の病気について書いていただきました。

 肺について

肺は環境の影響をよく受ける
人は一分間に約8リットル,一日でおよそ12,000リットル(300リットル冷蔵庫40台分)の空気の出し入れをして生きています。この大量の空気の出入りがあるために肺は環境の影響をすぐ受けます。空中に浮かんでいるウイルス,細菌,そして粉じんや化学物質が呼吸器を通して体内に入り込みます。また,肺は空気中から血液中に酸素を取り入れる臓器ですから,血液の出入りもあります。空気と血液の接点で起こるあらゆる病気が発症するのです。感染,炎症,アレルギー,免疫異常,有害物質による障害,腫瘍。一見肺とは無関係の病気でも血液を介して肺に合併症を起こすことがあります。肺の病気は多彩です。

たばこと喫煙
環境の中でもっとも肺に影響を及ぼすのがたばこの煙です。この世にたばこが存在しなければ呼吸器の病気の3分の1はなくなると言われています。

肺の病気の症状
肺の病気は多彩ですが症状は似かよっています。咳,痰,血痰,喘鳴(息をするたびぜーぜーすること),発熱,胸痛,呼吸困難(息切れ)が,主な症状です。血痰は結核や癌のサインと思われがちですが,気管支炎でも起こります。

"炎"と言う言葉について
肺炎や気管支炎というように病名には、臓器の名称に"炎"と言う言葉を組み合わせたものが数多くあります。炎とは炎症ということですが,では炎症とはどのような状態でしょうか。炎症とは"原因のいかんを問わず赤く腫れている状態"と解釈するとわかりやすいのです。炎症はウイルスや細菌などの感染だけで起こるわけではありません。打撲などのけがでも起こりますし,アレルギー,免疫の異常,腫瘍でも起こります。肺炎は肺が赤く腫れ上がっている状態とイメージしていただければよいと思います。炎症の強さは血液中のCRPと呼ばれる物質の量や赤沈(血沈)と呼ばれる検査,白血球の数などで測定します。


肺の病気のワンポイント学習


 肺の病気は多彩ですが,命名の由来で分類することができます。

炎症の病名

"炎"をつけると病名になりますが,上述のように原因は多彩です。

  • 鼻炎
     アレルギーが原因のときはアレルギー性鼻炎と言います。

  • 咽頭炎
     風邪やインフルエンザのウイルスはまずここに付着します。うがいが大事です。

  • 喉頭炎
     ここに炎症が起こると声がでなくなったりしゃがれ声になります。

     以上をまとめて上気道炎と言うことがあります。診断書の作成などで上気道炎という言葉がよく使われます。

  • 気管支炎
     咳が強く長く続き,肺炎を起こしていない状態です。

  • 肺炎
     細菌感染によるものが大部分ですが,ウイルスや免疫異常によっても起こります。

  • 胸膜炎
     肺炎が肺の表面に達して胸水がたまった状態です。昔は"肋膜炎(ろくまくえん)"と言いました。

    原因による病名

  • 風邪(感冒)
     数十種類のウイルスが原因です。鼻水,咽頭痛,咳,痰,発熱など呼吸器の症状が中心です。体内に入ってすぐ胃腸に付着するものもあります。これらは腹痛,嘔吐,下痢,発熱などの症状で急性胃腸炎と診断されます。広い意味で感冒に含まれます。

  • インフルエンザ
     鳥の世界から紛れ込んできたインフルエンザウイルスによるもので,高熱と筋肉痛で発症し重症な経過をたどるので風邪と区別します。

  • ウイルス性肺炎
     ウイルスは感冒のみならず肺炎を起こすことがあります。

  • マイコプラズマ肺炎
    ウイルスと細菌の中間の生物による肺炎です。4年に一度オリンピックの年に流行すると言われています。効果の高い抗生物質があります。

  • 細菌性肺炎
     肺炎のほとんどは細菌が原因で抗生物質で治療をします。

  • 肺結核  最近,患者数が増えてきたことを前号で書きました。

    機能による病名

  • 呼吸不全
     肺は空気中から酸素を取り入れ,体内から発生した二酸化炭素を排出するのが基本的な働きです。この働きが障害され、低酸素になると原因のいかんを問わず呼吸不全と診断します。

    症状による病名

  • 喘息(気管支喘息)
     息をするたびに"ぜーぜー"することを喘鳴(ぜいめい),と言い,長く続くと喘息と診断します。気管支が赤く腫れておこります。心臓病でも喘鳴がおこり以前は心臓喘息と言う言葉も使われましたが,こちらは心不全と言います。喘息はアレルギーで気管支が細くなる病気と考えられていましたが,様々な原因でおこる慢性の気管支炎症と結論がでました。

    たばこと関連が深い病気

  • 肺癌
     発病とたばことの直接関連が証明されています。

  • 慢性肺気腫
     たばこにより肺の構造がゆっくり壊れる病気です。息切れで発症します。

  • 肺線維症
     たばこや粉塵の吸入,そして全身の病気の部分症として発症しますが,原因不明のものが大部分です。肺の一部が硬くなって働きを失った状態です。

    原因による病名

  • じん肺
     大量の岩石粉塵を吸入した結果発病します。

    胸膜の病気

  • 気胸(ききょう)
     何らかの原因で胸膜が破れた状態でいわば肺のパンクです。突然,呼吸困難になります。

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    [しらかば通信]