![]() |
| 正常の喉頭 |
急性咽頭炎
―のどの風邪です。かぜはウィルスが本態ですが、発症には気象条件、疲労、栄養、体質、環境などが関係します。
―発熱、全身倦怠、食欲不振などの全身症状を伴い、、局所症状としては咽頭痛、乾燥感、異物感、嚥下痛などを訴えます。時には耳のほうに痛みを感ずることもあります。
―全身症状のある場合にはまず安静、熱が高い場合には解熱薬も使います。局所にはうがい、吸入、薬液の塗布などが行われ、消炎剤、トローチなどの投与が行われます。
![]() |
| 白い膿栓のついた急性扁桃炎 |
―レンサ球菌、ブドウ球菌などの感染によって起こります。発症にはかぜ、過労、気温の変化、物理化学的な刺激などが関連してきます。
―全身症状も局所症状も強く現れることが多いです。高熱がでて、体もふるえ、全身倦怠、食欲不振、関節痛なども起こってきます。
―安静を保ち、抗生物質、解熱鎮痛薬、消炎剤の投与が行われます。局所的には口内の清潔を保つようによくうがいをします。合併症をおこさなければ1週間くらいで治りますが、一般の風邪薬ではなかなか治りません。
慢性扁桃炎
―原因となる細菌は急性扁桃炎と同じくレンサ球菌、ブドウ球菌などです。病巣感染症といって、扁桃自体にはあまり症状がないのに、他の臓器、たとえば腎臓、心臓、関節、皮膚などの病気を引きおこすことがあるので注意しましょう。
―ふだんはほとんど症状がありません。あってもごく軽い咽頭痛、異物感などです。また、扁桃表面に白苔といって白いブツブツが付いているときには口臭を訴えることもあります。
―ふだんからよくうがいをすること。手術(扁桃摘出術)の適応となるのは@急性扁桃炎をしばしば繰り返す場合、A病巣感染が考えられる場合、B扁桃周囲膿瘍の再発予防の場合、C耳や鼻の病気の原因と考えられる場合、などです。
扁桃周囲膿瘍
―扁桃の周りに膿瘍をつくった状態で、急性扁桃炎につづいて起こることが大部分です。
―激しいのどの痛み(片側に強い)・嚥下痛で、痛みのため唾液をのみくだすことができず、勿論食事もできなくなります。また口蓋の浮腫もおこるので、発音が不明瞭となります。周りの筋肉の炎症のため口も開けずらくなり、痛みをやわらげるために首を傾けざるをえないこともあります。
―膿瘍ができる前の段階(扁桃周囲炎)であれば全身的に抗生物質、消炎剤で治ることもありますが、膿瘍ができてしまったら切開排膿しかありません。摂食困難もありますので必要に応じて栄養をつけるための点滴も行われます。切開排膿と抗生物質投与でだいたいは治癒しますが、ときに頸部や胸部にまで膿瘍が及ぶことがあるので油断は禁物です。
咽後膿瘍
―昔は成人にみられる頸椎カリエスから膿瘍をつくることがありましたが、現在はほとんどなく、大部分は乳幼児の病気です。咽頭粘膜と頸椎の前にある筋膜との間にあるリンパ節の化膿によって起こります。
―多くはかぜの症状が数日続いたあとの高熱で発症します。のどのつきあたりの壁(咽頭後壁)が腫れてくるので呼吸困難と嚥下困難がおこります。呼吸困難は唾液の貯留も加わってゼイゼイし、強くなるとチアノーゼも伴って危険な状態にもなります。
―膿汁が貯まっていれば切開しかありません。比較的稀な病気ですが、子供では注意が必要です。。
いびき
―いびきの多くは口蓋弓(扁桃の前後にある粘膜のヒダ)から口蓋垂(のどちんこ)の部分が睡眠中の呼吸で振動することによって出ます。いびきの一番の原因はいびきを起こす部分が狭い場合で、肥満が悪化の原因になります。体型的には首が短く、あごが小さめのひとに多くみられます。のどをみると前後の口蓋弓と咽頭後壁(のどの突き当たりの壁)の距離が短く、後口蓋弓と口蓋垂が大きい人に多いです。また、扁桃肥大や副鼻腔炎などで鼻の通りが悪いとよけいにひどくなります。
―ひどい例ではだんだんいびきの音が大きくなって、それがぱったりやんで(無呼吸)、またいびきをかきはじめる、ということを繰り返すため熟睡できず、昼間に眠くなるということがでてきます。睡眠時無呼吸は心肺機能や脳に負担が大きく、多くの病気の原因となります。
―まず体重を減らすこととタバコをやめること。次に鼻の通りが悪くなる病気があれば治療する。これでも治らなければ手術を行うことがあります。
アデノイド
―アデノイド自体は鼻の奥(上咽頭)にあります。別名、咽頭扁桃とも呼ばれ、鼻から侵入した細菌やウイルスを検知して全身の感染防御を行う組織で、口蓋扁桃とだいたい同じ働きをします。年齢とともに増殖し、そのピークは6歳くらいですが、あまり大きくなり過ぎるといろいろな症状を起こしてきます。
―鼻の通りが悪くなり、口で呼吸するようになります。いびきもかきます。また、蓄膿症(副鼻腔炎)や中耳炎を起こしやすい原因ともなります。
―アデノイドが原因で鼻づまりが強いとき、急性中耳炎を頻繁に起こしたり、滲出性中耳炎の原因になっているときは手術を行います。ただし、アデノイドはいずれ小さくなるものなので、様子をみることもあります。
扁桃肥大症
―一般に扁桃というときは口の中に見える扁桃(口蓋扁桃)のことです。口から侵入した細菌やウイルスを検知して全身の感染防御を行ったり、免疫反応にも関係しています。一番大きくなるのは8歳くらいで、その後徐々に小さくなります。
―非常に大きい場合にはいびき・無呼吸発作や、摂食困難と関係することがあります。
―肥大によるいろいろな症状が強いときには手術をします。しかし、年齢によって肥大度が異なるので、どこまでが正常範囲でどこからが病的であるのかを決めるのがむずかしいこともあります。医師とよく相談しましょう。扁桃の大きさと扁桃炎を起こしやすい体質とは直接関連はありません。
![]() |
| 左側の腫れ(浮腫)が強い 急性喉頭炎 |
―急性鼻炎(鼻かぜ)や急性咽頭炎(のど風邪)と同じおこり方をし、これらはしばしば一緒におこります。総称して急性上気道炎といいます。
―喉頭炎の主症状は音声障害です(声が嗄れる、ほとんど出なくなる)。この他に痛みや咳もでてきます。特殊なタイプに急性声門下喉頭炎というのがあって、これは小児に多く、夜間に症状が強く、咳がひどく、ゼイゼイいったり呼吸が苦しくなったりします。
―急性鼻炎や急性咽頭炎と同じく、安静と解熱剤、消炎剤、鎮咳剤などを症状に応じて使います。うがいや吸入も有効です。声門下喉頭炎の場合は小児ということもあって緊急を要する場合もあり、専門医による適切な治療が必要です。窒息の危険がある場合には気管切開といって頸部を通して気管に穴を開ける手術が必要となる場合があります。
急性喉頭蓋炎
―急性喉頭炎のなかで喉頭蓋(のどのフタ)に細菌感染が起こった場合をいいます。乳幼児に多くみられ、気道が閉塞されてしまう危険があります。B型インフルエンザ菌(風邪のウイルスとは違います)が原因となることが多いとされています。
―はじめは発熱とのどの痛み、とくにものを飲み込むときの痛みです。ひどい時には食事もできなくなります。声は嗄れませんが、こもったような声になります。以上のような症状に加えて呼吸が苦しくなります。
―抗生物質、消炎剤、鎮痛剤、解熱剤とともにステロイド剤を用いることがあります。膿瘍ができている場合は切開排膿します。呼吸困難が現れた場合には早い時期に気管切開を行い、窒息することを防ぎます。
![]() |
| 両側声帯の腫れが ある慢性喉頭炎 |
―慢性的な刺激の持続、全身性の慢性疾患の存在、体質などが関係します。
―全身症状はほとんどなく、局所症状も痛みというよりは異物感、乾燥感、咳、軽い声がれ程度です。
―慢性化をおこしている原因があれば、その対処が優先します。例えば、鼻閉による口呼吸、後鼻漏による刺激、喫煙、ほこりの多い環境、声帯の酷使などです。原因疾患の治療や生活環境、生活様式の改善なども一緒に考えないと、完全な治癒は難しいです。
![]() |
| 左側の声帯ポリープ |
―声帯の中央から前の方に、多くは片側だけのポリープができます。成因は激しい振動で血管が破れて出血し”血豆”ができることによります。
―声が嗄れます。
―のどを休めて、吸入をします。正しい発声方法を心がけることも大事です。治らないときは手術が必要です。
声帯結節
―声帯の中央から前方の両側に結節ができます。成因は声帯の酷使でできる”タコ”。発声を職業とする歌手・教師・僧侶などの多く、また大声で遊んだり無理な発声法をする小児にもみられます。
―声が嗄れます。ポリープと異なり次第に悪くなる場合が多く、また日によって声の調子が変わったりします。
―正しい発声方法を心がけ、会話時間の制限、吸入などを行い、治らないものは手術も考えます。
反回神経麻痺の疑い
―声帯の動きは反回神経によって支配されています。反回神経が迷走神経から分かれて喉頭にはいるまでの間に、なんらかの原因で麻痺が生じた場合です。脳の病変はもちろんの事、甲状腺腫瘍、食道腫瘍、縦隔腫瘍や肺癌によって麻痺することがあります。また原因不明のウイルス感染によって麻痺することもあります。
―発声時に声帯がきちんと閉じないので、空気の抜けたような力のない嗄れ声になります。また、飲食のときにむせることがあります。さらに両側の麻痺のときには呼吸困難をおこします。
―原因となった病気の治療が第一です。急激な呼吸困難には気管切開が行われます。麻痺が固定してしまって運動の回復が期待できないときには、声をよくするためのいくつかの手術法があります。
アフタ性口内炎
―アフタを伴う口内炎の多くは原因不明です。細菌やウイルスの感染、機械的刺激、アレルギーやホルモンの異常などが考えられています。
―孤立して1個だけできたり、数個がちらばってできたりし、とにかく痛いです。
―放置しても自然に治ることも多いですが、うがいで口内を清潔にすること、軟膏や付着薬を使います。
![]() |
| 舌の右縁にできた癌 |
―口腔内にできる癌のなかで一番多いのが舌癌です。舌の外側の歯に当たるところにできやすく、虫歯、入歯、とがった歯があり慢性的な刺激によって癌になることが多いといわれています。
―痛みがあることもありますが、異物感程度のこともあります。口の中でよく見えるので、自分で腫れているのに気づき受診することもあります。若年男女にも結構多いです。早期は治療成績が良いですが、ある程度の大きさを超えると急速に増大し頸部に転移しやすくなるので早期発見が一番大切です。
―初期の癌は放射線療法が行われることが多い。ある程度大きくなると放射線療法、化学療法のみでは治らず、手術も必要になってきます。
![]() |
| 左声帯の癌 |
―大部分が扁平上皮癌というもの。男女比が10:1で圧倒的に男性に多い癌です。喫煙が誘因の一つと考えられています。
―癌のできる場所にもよりますが、一番多いのは声がかれること。その他、飲み込む時の痛みや異物感。進行すると呼吸困難や食事が通りずらくなります。
―初期なら放射線療法や化学療法、あるいは小手術でで声を保存して治すことができますが、進行すると喉頭を摘出する手術が必要になります。喉頭を摘出すると声がでなくなりますが、さまざまな音声獲得法があります。
下咽頭癌の疑い
―喉頭と同じく扁平上皮癌が大部分です。喫煙や飲酒と密接な関係があります。
―下咽頭とは食道の入り口の部分で、ここに癌ができると初期には無症状かせいぜい異物感ていどです。大きくなると飲み込むときの痛みがあらわれ、だんだん食事が通りずらくなります。癌が喉頭に及ぶと声がかれたり呼吸が苦しくなったりします。
―放射線療法、化学療法、手術療法、免疫療法が症例に応じて行われます。癌がある程度進展したものでは、咽頭と喉頭の療法を摘出しなければならず、声が失われるばかりでなく、食物の通路の形成もしなければなりません。
嚥下障害
人間の飲み込み(嚥下)はおおむね3つの相に分けられます。
第1相―口腔期とよばれる主に随意的な運動で、食塊が口の中で咀嚼され、おもに舌の動きによって咽頭に送られ、反射的に第2相に移行する。
第2相―咽頭期と呼ばれる半不随意的な運動で、軟口蓋が咽頭後壁に密着し咽頭と鼻腔を分離する。舌根が上昇し声帯が閉鎖される。咽頭の筋肉群が収縮し咽頭の圧力を上昇させるとともに、食道入口部を閉鎖している輪状咽頭筋という筋肉がゆるみ、食塊を食道に送る。
第3相―食道期と呼ばれる完全に不随意的な運動であり、食道に投入された食塊は食道の蠕動(ぜんどう)運動によって胃に運ばれる。
―嚥下障害は口腔、咽頭、喉頭、食道の腫瘍病変を除くと、脳卒中(脳血管障害)が最も多く、神経筋疾患も少数みられます。
―主に第2相が障害されることが多く、上記の運動がタイミング良く行われないために、食塊が嚥下できず気管に入り込み、むせたり肺炎になったりします。
―軽いものでは食事をするときの体位や頭位を工夫したり、食物の調理法を工夫することで解決できる場合があります。ダメならいくつかの手術療法があります。
咽喉頭異常感症
―咽頭、喉頭、食道、甲状腺などに炎症や腫瘍があれば当然のどに何かがひっかかったような感じがしますが、いろいろな検査をしても病気が見つからない場合にこの病名をつけます。
―異物感、乾燥感、ひっかかる感じ、締めつけられる感じ、腫れぼったい感じなどさまざまです。また、これらの症状が、がんその他の重大な病気のためにおこっているのではないかと悩んだりもします。
―きちんとした検査をうけ、不安を取り除くことが重要。精神安定剤の投与が行われることもあります。
このページの最初へ