このページには一般的に行われているめまいの検査について簡単に説明しています。これらの検査は主に当院で行っている検査ですが、全ての検査をすべての患者さんに行っているわけではなく、その人のめまいの種類や状態によって選んで行っています。
また、医療機関によってはこれ以外の検査を行っているところも勿論あります。
立ち直り検査(姿勢の変化を元に戻す働きは充分ですか)
偏倚検査(体の動きがどちらかに偏ってませんか)
重心動揺検査(体の揺れを数値できちんとみてみよう)
注視眼振・頭位眼振・頭位変換眼振検査(異常な眼の動きがでていませんか)
温度眼振検査(三半規管の働きが弱ってませんか)
回転眼振検査(左右の平衡器官のアンバランスが起こってませんか)
迷路瘻孔症状検査(中耳炎によるめまいでは?)
電気性身体動揺検査(前庭神経の働きが弱ってませんか)
電気眼振計(眼の動きを数値できちんとみてみよう)
視刺激検査(脳の障害が起こってませんか)

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立ち直り検査
両脚直立 マン直立 単脚直立

姿勢の変化があったときに立ち直る反射(体の傾きを正しい位置に修正する働き)を検査します。代表的な検査として直立検査をあげます。
直立検査では両脚と単脚(片足立ち)およびその中間のマン姿勢(前脚のかかとと後ろ脚のつま先を一直線上にそろえる)で検査をします。当然両脚、マン、単脚の順に不安定さが増します。この検査は、開眼と閉眼で行います。閉眼の場合は視覚情報が働きませんので、障害が大きくでます。

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偏倚検査

遮眼書字検査 足踏み検査

代表的な検査として上肢の偏倚検査である遮眼書字検査と、下肢の偏倚検査である足踏み検査を説明します。

遮眼書字検査
眼を被って真っ直ぐ、縦に4〜5字(姓名、アイウエオ、ABCDE、など)書き下してもらいます。何回か書いた字がだんだん偏ってくるとそちら側に偏倚があるということです。文字の偏りの他に、文字が震えないか(脳幹障害)、乱れた文字にならないか(小脳障害)もチェックします。

足踏み検査
眼を閉じて50歩ないし100歩その場で足踏みをします。どちらかに大きく回転すれば、そちらの方向に偏っていく傾向があるということです。片側の内耳や脳幹の障害では一方に回転し、両側の内耳障害や小脳障害では後ろ側に倒れたり、歩幅が広くなったりします。

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重心動揺検査

重心動揺検査装置

体の揺れを記録できるようにしたものです。肉眼でみて判断する直立検査に比べて、身体動揺を客観的に記録として残したり、より詳しい分析ができるようになります。
患者さんは揺れを検出する台に60秒間(揺れの強い人は30秒間)、だまって立っているだけです。眼を開けた状態と閉じた状態でそれぞれ検査します。

揺れの規則性をみたパソコン画面 前後に揺れやすい人の例

体の揺れの大きさだけではなく、どの方向に揺れやすいか、その時のスピードはどうか、規則的な揺れかたをするのか、などをコンピュータを用いて分析します。

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注視眼振・頭位眼振・頭位変換眼振検査

注視眼振検査

注視眼振検査
眼の前に注視するものを置き、上下左右を注視してもらい、異常な眼の揺れや動きがないかどうかを調べます。平衡器官に異常があるときは、眼振といって規則的な眼の揺れがでます。
内耳が悪いときには眼振の方向は、眼がどちらを見ても右向きか左向きに一定していますが、脳に障害があるときには注視する方向によって眼振の方向が変わったり、色々な種類の眼振がでることがあります。

フレンツェル眼鏡 頭位眼振検査

頭位眼振検査
この検査ではベッドの上に寝てもらいます。頭を左右に傾けたり、ベッドから頭がはずれるくらいに下げた位置で眼振が出ないかどうかを調べます。
この際、フレンツェル眼鏡といって内部に小電球がついた凸レンズの眼鏡を用いて観察します。
内耳が悪い時にはおおむね眼振の方向は一定していますが、脳に障害があるときには様々な眼振がでることがあります。

頭位変換眼振検査
同じくフレンツェル眼鏡を用いて、急激に頭を前後や左右に動かしたときの眼の揺れを観察します。
良性発作性頭位めまい症では、ある特定の方向に頭を動かすと、一時的にクルクル回る(回旋性)眼振が出現します。

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温度眼振検査

温度眼振検査

ヒトの外耳道に冷たい水や暖かいお湯を入れると、内耳の三半規管が刺激されて眼振がおき、また、めまいを訴えます。この眼振の続いている時間(正常では約2〜3分)や眼振の速度から三半規管の機能がどのくらい保たれているかがわかります。もし反応がまったく無ければ内耳(半規管)は働きをほとんど失っていると考えられます。
前庭神経炎では、この反応が高度に低下します。
メニエール病では初期のうちは正常のことが多いのですが、めまい発作をくりかえしているうちに、徐々に働きが落ちてきます。
薬物などによる前庭機能高度低下例では、この反応が両側とも高度に低下し、結果として常時ふらつきが起こることになります。

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回転眼振検査

平衡機能検査の実際(南山堂)より引用

頭を回すと、その角加速度によって内耳の三半規管が刺激され、眼振が出現します。子供の頃、自分の体をグルグル回し、めまいがしたといって倒れて、天井がグルグル回るのを楽しんだ人もいると思います。回転検査は刺激(角加速度)と反応(眼振)の関係を調べて、前庭系のアンバランスがないかどうかを調べます。
めまいの経過観察に適しているほか、内耳か脳の病気かの鑑別にも用いられます。ただし、大がかりな装置が必要なため、この検査を行っている所は数少ないです。
当院では行っておりません。

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迷路瘻孔症状検査

ポリツェル球による検査

耳をおさえたり、耳たぶを引っ張ると、めまいがするというと訴える患者さんが時々います。このような患者さんの外耳道に陽圧や陰圧の刺激を与えると、めまいがが起こり、眼振がみられます。このような症状を瘻孔症状といい、その有無を調べる検査を迷路瘻孔症状検査といいます。
慢性中耳炎とくに真珠種性中耳炎でよく起こりますが、鼓膜に穴があいていなくても、先天性梅毒、メニエール病、外リンパ瘻などで稀にみられることがあります。
一般的にはポリツェルのゴム球(右図)を外耳道に密着させ、ゴム球を圧迫して陽圧刺激を加え、ついで陥凹したゴム球が自然のふくらみで元に戻ることにより陰圧刺激を加えます。
眼振の観察にはフレンツェル眼鏡下で行ったり、電気眼振計に記録したりします。

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電気性身体動揺検査

電気性
身体動揺検査
電気刺激装置(上)と
加算波形(下)

耳の後ろに電気刺激を加えると、身体が一方に傾くことが知られています。通常 0.3〜0.6mA の弱い電流刺激が用いられます。たとえば右耳に(プラス)の電流を流すと、身体は右側に傾き、(マイナス)の電流を流すと左側に傾きます。1回の刺激ではわかりずらいことがあるので、5〜10回の刺激を加え、その時の体の揺れを重心動揺計を使って計測し、加算した波形から判断します。
障害が内耳にあるのか前庭神経以降にあるのかを鑑別するために用います。右図は左前庭神経炎の人の検査結果で、左側の反応が無いことを示してします。

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電気眼振計

電極を貼ったところ 電気眼振計

眼の動きを精密に記録するための装置として、電気眼振計があります。ヒトの角膜と網膜の間には電位の差があって、眼の動きによって電位差が変化します。これを記録することにより、眼の動く方向、大きさ、速度などを正確に解析することができます。
実際には眼のまわりの上下・左右に電極を貼り、それを電気眼振計に記録します。心電図や脳波の記録と似ています。

左の図は頭位眼振と呼ばれるものを記録したものです。図で上向きが右方向、下向きが左方向の眼の動きを表しています。頭の位置によって眼振が右方向にでたり、左方向にでたりしています。
電気眼振計は温度眼振検査、回転眼振検査、視刺激検査などの際の眼の動きの記録にも使用されます。

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視刺激検査

視刺激装置

視運動性眼振検査
視運動性眼振というのは走る車の窓から外の景色をみているときのように、眼の前を連続的に通過していく物を見るときに、動くものを追跡するゆっくりした眼の動きと、次のものを捉えようとする速い反対側への動きが交互に反復して起こります。昔は鉄路性眼振ともいわれて、正常の人に起こる反応です。
この刺激をきちんとした間隔とスピードで出す装置ができており、これによって視運動性眼振が正しく出現するかを調べます。
脳幹や小脳に障害があると、この反応が異常になります。

視標追跡検査
眼の前で、左右に振り子運動をする視標を注視します。脳幹や小脳に障害があるとスムーズに視標を追跡できずに、ガタガタしたり、眼の動きが乱れたりします。

これらの検査は先に述べた電気眼振計で眼の動きを記録します。

正常の視運動眼振結果(速度をパターン化したもの)    正常の視標追跡運動

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