( Benign paroxysmal positional vertigo )

1.疾患概念
 本疾患の臨床像は1952年、Dix & Hallpike によって明確化された。しかし、剖検所見としては一側卵形嚢斑の変性(Hallpikeら)や、卵形嚢耳石らしい物質の後半規管クプラへの沈着(cupulolithiasis,Schuknecht)が報告されており、病因はなお不明である。

2.病歴からの診断
1)特定の頭位をとると、回転性ないしは動揺性のめまいがおこる(めまい頭位)。
2)めまいはめまい頭位において次第に増強し、次いで減弱ないし消失する。
3)引続いて同じ頭位をとると、めまいは軽くなるか、おこらなくなる。
4)難聴、耳鳴、体のふらつきは自覚しないことが多い。
1)、2)、3)が存在するときは、「良性発作性頭位めまい症疑い例」と診断する。

3.検査からの診断
 フレンツェル眼鏡下に、仰臥位より左・右側臥位への頭位変化と、坐位より懸垂頭位への頭位変化とを行わせ、出現する眼振の性状とめまいの有無を検査する。
 本症に特徴的な眼振は、坐位より懸垂頭位への頭位変化によって出現することが多い。
1)めまい頭位においては、眼振(回旋性成分の強い)が数秒の潜時をおいて出現し、次第に増強し、次いで減弱ないし消失する。
2)患者は眼振の出現に伴って、めまいを自覚する。しかし、同時に難聴、耳鳴を自覚することはない。
3)引続いて、めまい頭位をとらせると、眼振とめまいの出現は明らかに減弱する。
4)めまい頭位より坐位または仰臥位に戻したときに、反対方向に向かう、主に回旋性の眼振が出現することがある。
5)聴力検査、温度刺激検査において異常所見をみないことが多い。
6)直接の関連をもつ中枢神経症状を認めない。
1)、2)、3)が存在するときは、「良性発作性頭位めまい症」と診断する。

4.鑑別診断
1)頸性めまい
 坐位における頸部の捻転によって誘発される。
2)いわゆる悪性発作性頭位めまい
 中枢疾患による発作性頭位めまいとの鑑別には、良性発作性頭位めまい症では数カ月以内にめまいが出現しなくなること、および中枢神経症状が随伴しないことに注意する。